CASE:年金問題(熟年離婚)

出産育児中は夫の扶養内でした。離婚したら年金はどうなるのでしょうか?

相談事例:妻55歳・会社員(夫58歳・会社員、子ども28歳・すでに独立)
現在は共働きですが、出産や育児の間は夫の扶養に入っていました。離婚した場合、年金はどうなるのでしょうか?

回答
「年金分割」をすることができます。年金分割は、相手からお金を受け取るものではありませんが、将来、公的年金を受け取る際に、分割しない場合よりも多い年金額を受け取ることができます。

年金分割という制度があります

厚生年金の支払い実績を夫婦平等に分割

「年金分割」とは、婚姻期間中に納付した保険料のうち、厚生年金の支払い実績を分割する制度です。厚生年金は、全国民が加入する「基礎年金部分」(1階部分)と、賃金に応じて保険料を支払い、支払った金額に応じて年金を受け取る報酬比例部分(2階部分)がありますが、年金分割はこの2階部分を分割する制度になります。

夫婦共働きの場合、それぞれが賃金に応じた厚生年金保険料を納付しますが、賃金の高い方(多くの場合は夫)が多くの厚生年金保険料を納付することになります。年金分割をすると、婚姻期間中の夫の納付分と妻の納付分が平等になるため、妻の厚生年金部分だけの場合と比べて、年金受取額が多くなるのです。

国民年金のみの場合は対象外

年金分割は厚生年金を対象とするものなので、パートナーが自営業であるなど国民年金のみにしか加入していない場合は分割ができません。また、年金分割は公的年金制度上のものなので、確定拠出年金などの企業年金部分や保険会社の年金保険などは、年金分割の対象外になります(これらは財産分与の対象となります)。

 


[メモ]
年金制度は2015(平成27)年10月に厚生年金(会社員が加入)と共済年金(公務員が加入)が統一され、両者を合わせて「厚生年金」と呼ばれています。


 

老後の生活設計を考えるうえで、
年金はとても重要です。

将来、受け取れる年金額を確認することは、離婚後の生活設計を考える第一歩につながります。
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