当事者による協議
話し合い
当事者で話し合いができる場合は、話し合いによる解決を検討します。離婚に伴う以下のことも話し合います。
[親権者]未成年の子どもがいる場合は、子どもの親権者を決めなければなりません。子どものためにどうしたらよいか冷静に話し合い、子どもの意思も確認しましょう。
[養育費]子どもが未成年の場合は、毎月の養育費の金額を決め、いつまで支払うか(子どもが成人するまで、または学校を卒業するまでなど)合意する必要があります。
[面会交流]親権者とならなかった親が子どもと交流する方法を決めます。
[財産分与]夫婦で築き上げた財産を清算します。
[年金分割]離婚の際に決めておいた方がいいでしょう。
公正証書の作成
話し合いで合意ができた場合は、合意事項を公正証書にします。養育費など支払い合意をしたにもかかわらず支払いが滞った場合に、公正証書に基づいて給料差し押さえなどの強制執行をすることができます。
公正証書にしないと、金銭の支払いについて裁判所へ調停を申し立てるなど、改めて手続きが必要になります。
離婚成立
離婚届用紙に必要事項を記入し、当事者が署名と押印をして、2名の証人に署名してもらったうえで役所に届けます。
当事者で作成した合意書や公正証書に日付があっても、協議離婚の場合は離婚届が役所で受理された時が離婚成立日となります。
届け出後、未成年の子どもの戸籍を親権者の戸籍に移す必要がある場合は、家庭裁判所に子どもの氏の変更の許可を求める手続きをします。裁判所で許可が下りたら子どもの戸籍を親権者の戸籍に移します。
年金分割も合意しただけでは効力が発生しません。年金事務所に届け出が必要になります。
離婚調停
家庭裁判所への申し立て
当事者で話し合いができない、あるいは合意に至らない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。申立書は裁判所のホームページからダウンロードすることができます。
離婚調停は、相手方が生活している住居がある家庭裁判所に申し立てることになります。申し立ては郵送が可能なので、遠方でも問題はありません。調停手続きは、2名の調停委員と担当の裁判官が進めます。
なお、裁判所が遠方の場合は、依頼した弁護士事務所と裁判所を電話でつないで調停を進めることができます。弁護士を依頼していない場合でも自分の家の管轄の裁判所の電話を利用して調停を進めることができます。
調停
原則として、相手と同席することはありません。裁判所から呼び出された日に裁判所に出向きます。小さな会議室のような調停室で、調停委員が当事者から交互に丁寧に話を聞きます。
調停も裁判所での話し合いですので、当事者で合意ができないと調停不成立で終了します。合意ができると調停離婚が成立します。離婚調停では大半が協議離婚で、書いた項目をすべて取り決めます。
離婚成立
調停成立の日が離婚日となりますが、役所に離婚届を提出する必要があります。裁判所に届け出用の離婚調書を作成してもらい、それをもって届け出をします。離婚届用紙には相手の署名や証人の署名は必要ありません。
子どもの氏の変更は協議の場合と同様に、家庭裁判所に許可を求める手続きが必要となります。年金分割も同様です。
離婚裁判
家庭裁判所への訴え
離婚裁判は、事前に離婚調停を行って不成立などで終了していることが条件になります。原則として、調停を経ないで離婚裁判を起こすことはできません。離婚裁判は調停と異なり、本人の住所地の家庭裁判所に訴えを起こすことができます。
調停と裁判のちがいは、調停では調停委員が間に入って当事者から言い分を聞きながら進めますが、裁判では自分の主張をすべて書面にして裁判所に提出する必要があります。それを裏づける証拠の提出も必要になります。
当事者の主張書面などが出尽くすと、裁判所で当事者双方の尋問が行われます。
離婚裁判でも、さまざまな場面で合意によってまとめられないか裁判官主導で和解の試みが行われます。和解が成立しないと、裁判官が判決という方法で結論を決めます。
控訴
裁判官の判決に不満がある場合は不服申し立ての制度があります。判決を受け取ってから2週間以内に管轄の高等裁判所(長野家庭裁判所で裁判を行った場合は東京高等裁判所)に控訴状を提出する必要があります。
高等裁判所では3人の裁判官が判断することになります。ここで和解が成立しない場合は判決が出ます。
この判決に納得しない場合は、さらに上訴の手続きがあります。ただ、判決が納得できないという理由では受けつけてもらえません。離婚裁判の大半は高等裁判所までとなります。
離婚成立
離婚裁判で離婚が成立したら、調停の場合と同じように役所に離婚届けを提出する必要があります。子どもの氏の変更や、年金分割手続きも同様です。
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